「FIREを目指すべきか、それとも脱サラして起業すべきか…」
この質問、実は多くの方が混同されているんです。私自身、2011年にネットビジネスで脱サラを果たしましたが、当時はFIREという言葉すら知りませんでした。でも今振り返ると、私が選んだのは明確に「脱サラ」であり、FIREではなかったんですね。
あなたは今、会社を辞めて自由になりたいと考えていらっしゃるかもしれません。でも、その「自由」の形は人それぞれ違います。FIREと脱サラ、この2つは似ているようで全く異なる生き方なんです。
今日は、私が14年間の経験から学んだ「FIREと脱サラの決定的な違い」を徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたがどちらを目指すべきか、明確な答えが見えてくるはずです。
目次
FIREと脱サラ、そもそもの定義を整理しよう
まず、多くの方が混同されているこの2つの概念を整理しましょう。
FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは、経済的自立を達成して早期退職することです。つまり、資産から得られる不労所得(配当金、家賃収入など)で生活費を賄い、働かなくても生きていける状態を作ることが目標です。
一方、脱サラとは、会社員という立場から離れて、自分でビジネスを立ち上げたり、フリーランスとして働いたりすることです。つまり、「労働からの完全な解放」ではなく、「会社という組織からの解放」を目指すものなんですね。
私が選択したのは、まさにこの「脱サラ」でした。妻と3人の子どもを抱えた状態で、ネットビジネスという新しいフィールドに飛び込んだのです。
ここで重要なのは、FIREは「リタイア(引退)」が前提であるのに対し、脱サラは「新しい働き方へのシフト」だということです。この違いを理解せずに進むと、後で「こんなはずじゃなかった」となってしまいます。
決定的な違い1:必要な資金額が全く異なる
FIREと脱サラで最も大きく異なるのが、必要な資金額です。
FIREに必要な資金は、一般的に「年間生活費の25倍」と言われています。これは「4%ルール」という考え方に基づいています。例えば、年間生活費が300万円なら7,500万円、400万円なら1億円が必要になります。
実際、私の周りでFIREを達成された方々は、少なくとも5,000万円以上の金融資産を持っていました。50代でFIREを目指すなら、年金受給までの期間を考えると、さらに多くの資金が必要になります。
一方、脱サラに必要な資金は、ビジネスモデルによって大きく異なります。私の場合、ネットビジネスでの脱サラだったため、初期投資は数十万円程度でした。パソコン1台とインターネット環境があれば始められたんです。
もちろん、生活費の6ヶ月分〜1年分の貯蓄は必要です。私は当時、1年間無収入でも家族を養える貯蓄を確保してから脱サラしました。でも、それでも1億円には遠く及びません。
つまり、FIREは「資産形成が先、自由が後」、脱サラは「ビジネス構築と同時進行で自由を獲得」という違いがあるんです。
もしあなたが現在30代〜40代で、金融資産が1,000万円未満なら、現実的にはFIREよりも脱サラの方が早く自由を手に入れられる可能性が高いでしょう。
決定的な違い2:働き方とライフスタイルの自由度
次に、働き方とライフスタイルの違いを見ていきましょう。
FIREのライフスタイルは、基本的に「完全リタイア」です。資産運用の管理は必要ですが、日々働く必要はありません。朝起きる時間も、何をするかも、すべて自分で決められます。究極の時間的自由と言えるでしょう。
ただし、ここには大きな落とし穴があります。それは「やることがない」という問題です。実際、FIRE達成後に燃え尽き症候群になったり、社会との繋がりを失って孤独を感じる方も少なくありません。
脱サラのライフスタイルは、「働くけど自由」です。私の場合、平日も休日も関係なく、自分のペースで仕事をしています。子どもの学校行事には必ず参加できますし、平日の昼間に家族旅行に行くこともできます。
脱サラして、私が感じているのは「適度に働くことの充実感」です。自分のビジネスを育てる楽しさ、クライアントから感謝される喜び、新しいスキルを学ぶワクワク感。これらは、完全リタイアでは得られないものです。
もちろん、脱サラにも課題はあります。ビジネスが軌道に乗るまでは、会社員時代よりも長時間働くこともありました。でも、それは「誰かに強制された労働」ではなく、「自分で選んだ挑戦」なんです。この違いは、精神的な充足感に大きく影響します。
あなたは、完全に働かない生活と、自分のペースで働ける生活、どちらに魅力を感じますか?
決定的な違い3:リスクとセーフティネットの考え方
FIREと脱サラでは、リスクの性質とセーフティネットの考え方が大きく異なります。
FIREのリスクは、主に「資産運用の失敗」と「想定外の出費」です。株式市場の暴落、インフレによる生活費の上昇、医療費の増加など、コントロールできない外部要因に左右されやすいのが特徴です。
4%ルールは米国株の過去データに基づいていますが、日本の低金利環境や人口減少社会では、同じように機能するか不透明です。私の知人でFIREを目指していた方は、コロナショックで資産が大きく目減りし、計画を見直さざるを得なくなりました。
脱サラのリスクは、「ビジネスの失敗」と「収入の不安定さ」です。ただし、これらは自分の努力や工夫である程度コントロールできるリスクなんです。
私が脱サラした当初、収入はゼロからのスタートでした。でも、試行錯誤を重ね、スキルを磨き、顧客を増やすことで、徐々に安定した収入を得られるようになりました。つまり、自分の行動次第で状況を改善できるんです。
セーフティネットについても違いがあります。FIREの場合、資産が減少したら「再就職」という選択肢になりますが、数年〜十数年のブランクがあると、再就職のハードルは高くなります。
脱サラの場合、ビジネスを続けながらスキルを磨いているので、万が一の時も「再就職」「別のビジネスへの転換」「フリーランスとして働く」など、選択肢が多いんです。
特に50代の方にとって、このセーフティネットの違いは重要です。FIREして資産が底をついた時、60代での再就職は現実的ではありません。でも、脱サラしてビジネススキルを持っていれば、何歳になっても稼ぐ力を維持できます。
決定的な違い4:家族や社会との関係性
FIREと脱サラでは、家族や社会との関係性も大きく変わってきます。
FIREの社会的立場は、一言で言えば「無職」です。もちろん経済的には自立していますが、名刺に書く肩書きがない、社会的アイデンティティが曖昧になるという課題があります。
私の知人でFIREを達成した方は、「何をしている人ですか?」と聞かれた時の答え方に悩んでいました。また、子どもの学校関係で「お父さんの職業は?」と聞かれた時、どう説明するか困ったそうです。
脱サラの社会的立場は、「個人事業主」「経営者」「フリーランス」など、明確な肩書きがあります。私は「個人事業主」として、地域のコミュニティでも活動していますし、子どもたちにも自信を持って職業を説明できます。
家族との関係性も重要です。FIRE達成のためには、徹底的な節約生活を家族に強いることもあります。「なぜこんなに我慢しなければいけないの?」という家族の不満が、関係性を悪化させることもあります。
私の場合、脱サラは「家族のため」でもありました。子どもの運動会や参観日に必ず参加できる、妻が困った時にすぐに助けられる、家族旅行を自由に計画できる。これらは、会社員時代には難しかったことです。
脱サラして収入が増えたことで、子どもたちに習い事をさせたり、家族での思い出作りにお金を使えるようになりました。FIREのように節約を徹底する必要がないため、家族との生活の質を維持・向上させることができたんです。
あなたの家族は、どちらの生き方を望んでいるでしょうか? 一度、しっかりと話し合ってみることをお勧めします。
決定的な違い5:年齢と達成までの時間軸
最後に、年齢と達成までの時間軸の違いを見ていきましょう。
FIREの時間軸は、一般的に10年〜20年以上かかります。30代から始めても、40代後半〜50代での達成が現実的なラインです。高収入のIT企業勤務などでない限り、短期間での達成は困難です。
特に40代以降でFIREを目指す場合、資産形成のスピードが間に合わない可能性が高くなります。私の周りでも、40代後半からFIREを目指し始めた方は、結局60代まで働き続けることになったケースが多いです。
脱サラの時間軸は、ビジネスモデルと準備次第で大きく変わります。私の場合、ネットビジネスの勉強を始めてから2年で脱サラを決断しました。つまり、30代後半〜40代からでも、十分に間に合うんです。
実際、私が脱サラしたのは30代の時です。もし同じタイミングでFIREを目指していたら、今でもまだ会社員だったでしょう。脱サラを選んだからこそ、40代で自由な生活を手に入れることができました。
また、脱サラは「段階的な移行」が可能です。副業から始めて、収入が安定してから退職するという方法が取れます。私も最初は週末だけネットビジネスをやっていました。リスクを最小限に抑えながら、新しいキャリアを構築できるのが脱サラの大きなメリットです。
FIREは「ゴール地点が明確」ですが、そこに到達するまでは我慢の連続です。脱サラは「スタート地点がゴール」であり、自由を手に入れながら成長していけるんです。
50代の方であれば、FIREよりも脱サラの方が、残りの人生を充実させられる可能性が高いと私は考えています。
あなたに合うのはFIRE?それとも脱サラ?
ここまで5つの違いを見てきましたが、結局のところ「あなたに合うのはどちらか?」という問いに答えを出さなければいけません。
FIREが向いている人
- 金融資産が既に3,000万円以上ある
- 投資や資産運用に興味がある
- 完全に仕事から離れたい
- 趣味や旅行など、やりたいことが明確にある
- 20代〜30代前半で、時間的余裕がある
脱サラが向いている人
- 何か新しいことに挑戦したい
- 働くこと自体は嫌いではない
- スキルを活かして収入を得たい
- 家族との時間を大切にしたい
- 40代以降で、早く自由を手に入れたい
私自身の経験から言えば、脱サラは「人生の選択肢を増やす」ものです。ビジネスが成功すれば、その収益でFIREを目指すこともできます。つまり、脱サラ→FIRE という順番も可能なんです。
実際、私は今、脱サラして得た収入を投資に回しています。将来的には、ビジネスの比重を下げて、より資産運用中心の生活にシフトすることも考えています。これは、最初からFIREを目指していたら実現できなかった選択肢です。
逆に、FIREから脱サラへの移行は難しいです。長年のブランクがあると、新しいビジネスを立ち上げるスキルや人脈が失われてしまうからです。
まとめ:自分らしい「自由」の形を見つけよう
FIREと脱サラ、どちらが正解ということはありません。大切なのは、あなた自身が「どんな自由を手に入れたいのか」を明確にすることです。
私が14年前に脱サラを選んだのは、「完全リタイアよりも、自分のペースで働きながら家族との時間を大切にしたい」と思ったからです。その選択は、今でも正しかったと確信しています。
今、私は毎日充実した日々を過ごしています。朝は好きな時間に起き、子どもたちの成長を間近で見守り、新しいビジネスアイデアにワクワクしながら仕事をしています。これが、私にとっての「自由」なんです。
あなたにとっての「自由」は何でしょうか? 完全に働かない生活ですか? それとも、自分のペースで働ける環境ですか?
この記事を読んで、FIREか脱サラか、どちらを目指すべきか少しでも明確になったでしょうか? もしまだ迷っているなら、まずは副業から始めてみることをお勧めします。実際にビジネスを経験することで、自分に何が合っているのか見えてくるはずです。
あなたの人生は、あなた自身が決めるものです。会社に依存せず、自分らしく生きる第一歩を、今日から踏み出してみませんか?


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