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日本の転職率の現状 {#現状}
2024年の転職率データ
2024年の日本における**正社員の転職率は7.2%**という結果が発表されました。これは前年の7.5%から0.3ポイント減少していますが、新型コロナウイルス発生前の2019年と比較すると依然として高い水準を維持しています。
一方、総務省の労働力調査によると、転職者比率は5.1%(2024年7-9月期平均)で、前年同期比0.3ポイント上昇しており、転職者数は346万人と21万人の増加となっています。
転職率と転職者比率の違い
- 転職率(7.2%):マイナビ調査による正社員に特化した数値
- 転職者比率(5.1%):総務省調査による全就業者(非正規雇用含む)の数値
この違いは調査対象と定義の違いによるものですが、どちらも転職が活発化していることを示しています。
年代別転職率の詳細分析 {#年代別}
20代の転職率
男性:13.4%、女性:11.3%
20代は全年代の中で最も転職率が高い年代です。しかし、2024年は前年比で男性が0.2ポイント、女性が1.4ポイント減少しており、若年層の転職活動がやや落ち着きを見せています。
20代の転職理由トップ3
- 給与が低かった
- 職場の人間関係に不満があった
- 労働時間に不満があった
30代の転職率
男性:8.5%、女性:9.2%(推定値)
30代は転職による年収アップを実現しやすい年代で、特に30代男性の49%が転職により年収アップを果たしています。キャリア形成の重要な時期として、スキルアップを目的とした転職が多く見られます。
30代の転職理由の特徴
- キャリアアップ志向が強い
- 家庭環境の変化に伴う働き方の見直し
- 専門スキルを活かした転職が多い
40代の転職率
男性:6.1%、女性:5.4%(前年比で増加傾向)
注目すべきは、40代の転職活動が活発化していることです。特に40代女性は前年比0.9ポイント増、40代男性は0.3ポイント増となっており、従来の「35歳転職限界説」が解消されつつあることが示されています。
40代の転職理由トップ
- 仕事内容に不満があった
- 会社の将来性、安定性に不安があった
- 給与が低かった
50代の転職率
3.5%(全年代平均)
50代でも転職率は3.5%と一定の水準を保っており、長期的なキャリア視点での転職が増加しています。2021年以降ほぼ同水準で推移しており、シニア層の転職市場も安定しています。
転職率の推移と傾向 {#推移}
過去5年間の転職率推移
- 2019年:6.7%(コロナ前)
- 2020年:6.9%
- 2021年:7.6%
- 2022年:7.8%
- 2023年:7.5%
- 2024年:7.2%
傾向分析
- コロナ禍での転職率上昇:2020年以降、転職率が大幅に上昇
- 若年層から中高年層への転職シフト:20-30代が減少し、40-50代が増加
- 転職の一般化:転職に対する社会的な受容度の向上
転職理由と決定要因 {#理由}
転職理由ランキング(2024年)
- 給与が低かった:25.5%
- 職場の人間関係に不満があった:19.8%
- 労働時間に不満があった:17.2%
- 仕事内容に不満があった:16.4%
- 会社の将来性、安定性に不安があった:14.9%
転職先決定理由
全体・男性
- 給与が良い:25.9%
女性
- 希望の勤務地である:29.4%
この結果から、男女で転職における重視ポイントに違いがあることが分かります。
応募意欲が上がる制度
- 退職金制度:42.8%
- 有給取得率の高さ:35.2%
- フレックスタイム制度:28.7%
転職による年収変化 {#年収}
年収変化の実態
- 転職前平均年収:487.3万円
- 転職後平均年収:509.3万円
- 平均年収増加額:22.0万円
年収上昇率
- 年収が上がった人:39.4%
- 年収が変わらない人:35.2%
- 年収が下がった人:25.4%
年代別年収変化の特徴
- 30代男性:49%が年収アップを実現(最も高い割合)
- 40代男性:転職による平均年収増加額が最も高い
- 女性全体:勤務地や働き方を重視する傾向
転職市場の今後の見通し {#見通し}
2025年の転職市場予測
- 40-50代の転職活動継続的増加
- 「35歳転職限界説」の完全な解消
- シニア層のスキル活用機会拡大
- 働き方の多様化
- リモートワーク定着による地域格差の縮小
- フレックスタイム制度の普及
- 高年齢者雇用安定法の影響
- 2025年4月改正により65歳までの雇用確保が企業に義務化
- 長期キャリア形成への意識変化
転職を検討する際のポイント
年代別転職戦略
20代
- スキル習得と経験積み重ねを重視
- 将来性のある業界・職種への転職
30代
- 専門性を活かした年収アップ転職
- ワークライフバランスの最適化
40代以上
- 長期的なキャリア視点での転職
- 経験とスキルを活かせる環境選択
まとめ
日本の転職率は2024年で7.2%と高水準を維持しており、特に40-50代の転職活動が活発化しています。従来の年齢による転職の壁は確実に低くなり、転職はより身近な選択肢となっています。
転職を成功させるためには、年代別の特徴を理解し、自身のキャリア目標に合わせた戦略的な転職活動が重要です。給与向上だけでなく、働き方の多様化や長期的なキャリア形成を視野に入れた転職検討が求められる時代となっています。


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